H, O, C, N は固体惑星を作る元素(Mg, Si, Fe など)と異なり,反応性に富み,わずかな物理条件(温度・圧力等)の変化によっても様々な化学反応が生じます.そのため,分子雲・原始惑星系での化学的な進化(原子から氷・有機物)の解明は,天体の進化過程の理解と直結し,さらに太陽系での彗星や小惑星,地球の海や生体関連分子の形成にもつながっていく極めて学際的な課題といえます.しかし,原始惑星系における化学反応過程は最も理解が進んでいない前人未到の領域であり,分子雲-原始惑星系-惑星系と続く化学進化の統一的な理解を阻害する大きな原因となっています.原始惑星系での微粒子への気相分子の化学吸着,固相表面での触媒反応に注目し,原始惑星系に存在する固相有機物の形成と進化を明らかにすることをめざします. |