H, C, O, N 系物質の研究は星・惑星系の形成,進化の理解に大きな貢献を果たすことが期待されます.しかし,その情報の複雑さゆえに,星の進化にともなう分子進化の全貌の理解には至っておらず,実験・天文観測・理論・始原物質分析の統合により,分子進化の全体像を描くことをめざす本領域は類を見ないものです.ALMA望遠鏡が本格運用期に入り,原始星円盤の高分解能観測が可能になり,これまでにない質と量のデータの入手が期待されます.また,分析装置開発も進み,稀少なリターンサンプルから最大限の情報が引き出せるようになっています.2020年代には「はやぶさ2」計画や OSIRIS-REx計画が有機物を含み,水の痕跡を残す小惑星からのサンプルリターンをめざしています.本領域で得られる成果は ALMA やリターンサンプルから得られる情報と組み合わせ,それらを最大限に利用し,惑星形成の一般的理解,太陽系進化の解読を可能とすることが期待されます.
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